■電装改造にあると便利な工具や材料
工具類
配線材料など
測定機器など
<工具類>
●簡易圧着工具
安物です.ディスカウント店で(20年近く前に)800円で購入.プロが使う圧着用ハンド・ツールは,どんな力で握っても同じ圧着力で接続される優れものですが,こいつは単なるペンチみたいなものなので,かなり力を加えないとうまく圧着できません.とはいえラジオ・ペンチなどで,いいかげんに圧着するよりはましです.

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●ピン・リムーバー(エクストラクタ)
ハウジングの中に入っている電極を取り出すツール.今年,アストロプロダクツで購入.ハウジングに組み込んだ電極を破壊せずに取り出すのは,こつが要ります.ファストン110,187,250などの平型端子なら,こいつを使えば難なく取り出せます.写真からわかるように丸ピンの電極にも対応しています.
自作もできそうですし,私自身も長年にわたり自作ツールを使っていたのですが,カタログで見つけて,安価だったので試しに買ってみました.標準的でない工具は,見かけたときに入手しておかないと二度と手に入らないことがあります.

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●精密ドライバー・セット
100円ショップで買える腕時計修理用などの精密ドライバー・セットは,コネクタ・ハウジング内の電極を取り出したりするのに便利に使えます.なかば必需品です.

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●コテライザー(ガス半田ごて)
もっとも活躍したのはガス半田ごての「コテライザー」かもしれません.電源が不要なので,外でちょっとした半田付けをするのに重宝します.
また,熱容量が60W相当の半田ごて以上あるので,ファストン250端子や8sq線も楽々半田付けできます.
ガスは100円ライター用の無臭液化ブタンガスで,これは100円ショップで充填用ボンベが売っています.
「コテライザー」は埼玉県の中島銅工が特許を持つガス半田ごてで,中島銅工のほか,東京都の工具メーカーであるエンジニア社も同名ブランドで発売しています.私は秋葉原の千石電商で中島銅工ブランドのものを購入しました.中島銅工ブランドのほうが余計なアクセサリが付属しておらず安価です.

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●マグネット皿(磁石付き皿)
100円ショップで小(100円)と大(300円)が売られています.私は小を使っていますが,値段の割には,ことのほか便利です.鉄製の小物部品は皿に付着するので,コロコロ転がって紛失するのを防げます.風で転がるような小物部品もこの皿に載せておけば大丈夫です.
皿の下にゴムで被覆された円形フェライト磁石が付いているので,たとえばマフラーの上とか,タンクの上とか,作業しやすい場所に手軽に置くことができます.
100円ショップで見かけたら,ぜひゲットしておきましょう.

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<配線材料など>
●コンベックス(結束バンド,束線バンド)
配線を束ねるのに使うバンドです.「コンベックス」は芝軽粗材(株)の商品名なので,他社からはいろいろな名前で発売されています.私がコンベックスを知ったのは30年近く前ですが,当時は高価な配線材料でした.今や100円ショップで様々なサイズや色のを購入できます.基本的には使い捨てですが,再使用できるものもあります.これも今では必需品です.

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●熱収縮チューブ
「ヒシチューブ」「スミチューブ」などの名称で販売されています.ハーネスがバラバラになるのを防いだり,配線どうしを半田付けした後を覆ったり,配線の途中に抵抗器を入れたり,コネクタ内部で半田付け箇所を保護したりと,あちこちで使えます.
電子部品店や配線材店などで購入できます.最近は100円ショップでも売っています.φ2〜φ20ぐらいの黒色と透明を常備しておくと便利です.
保護したいものに通してから,100円ライターで数秒あぶって収縮させます.ホット・エア・ブローなんて普通は持ってないし,私は面倒なので最近は100円ライターを使っています.ただし100円ライターだと煤が付着するので,デリケートなものは半田ごての熱であぶっています.
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●エンパイヤ・チューブ
ガラス繊維製の保護チューブです.色は6色ぐらいあります.耐熱製が優れているので,絶対にショートしてはならないような配線などは,これに1本ずつ通します.
電子部品店や配線材店などで購入できます.
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●配線保護用ビニル・チューブ
ハーネスを保護する塩化ビニル製のチューブです.メーカーの純正ハーネスにもよく使われています.スパイラル・チューブやコルゲート・チューブより安価で確実,しかも無駄にハーネスが太ることがないので配線がかさばらずに済みます.
私はφ8やφ10を使っています.ARR-1のハーネスの写真が参考になると思います.
配線材の専門店(オヤイデ電気)で購入できます.
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●スパイラル・チューブ
ハーネスを保護する螺旋状のチューブです.配線材店で購入できます.最近は100円ショップでも売っています.
巻き付けるだけでケーブルをひとまとめにできるほか,途中からケーブルを引き出すこともできます.

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●コルゲート・チューブ
ハーネスを保護するチューブです.配線材店で購入できます.あらかじめチューブが半分に割れているものは途中からハーネスが飛び出したりして使いづらいです.実際のハーネスよりかなり太めになるのでバイク電装用には適していないように思います.屋内配線の保護ならスペースをさほど気にしないので良いかもしれません.
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<測定機器など>
●導通とPNジャンクションを目と耳で確認できるテスター(Fluke 77)
テスター(サーキット・テスターとかマルチメータともいう)は,各社から2,000円程度の安価なものから,数万円の高価なものまで,あれこれ発売されています.
私が愛用しているのは20年ほど前に購入した初代Fluke 77です.現在も後継機種(Fluke 77V)が発売されているロング・セラー機種です.当時,円高に伴う値下げの前だったので実売で3万5000円ぐらいしたと記憶しています.77の上位機種79なら真の実効値電圧表示でしたが,たかだかハンドヘルド・マルチメータにもっとお金をかける気にはなりませんでした(^^;
1999カウントが当たり前だった20年前に,3299カウント,アナログ・バー表示などがうたい文句の製品でした.あまり宣伝されていませんでしたが,もっとも重宝するのは「導通」(オーミック・コンタクト)と「PN接合」(PNジャンクション)を目と耳で確認できる機能です.あなたがお使いのマルチメータではいかがですか?
製作した電子回路の配線をチェックするとき,アナログ/ディジタルを問わず普通のテスターだとΩレンジで導通をチェックすることしかできません.このとき,単に導通したらピーと音が鳴ったり,抵抗値が表示される程度では困るのです.すなわち,
(a)回路がショート(短絡)している(オーミック・コンタクト)
(b)ショートしているように思えるほど抵抗値が低い(オーミック・コンタクト)
(c)一見ショートしているような抵抗値が表示されるが実はPNジャンクション
これらが見分けられないと,半導体を使った電子回路をチェックするのにとても不便です.このようなチェック作業をするとき,テスタ棒の先端がちゃんと目的の箇所に接触しているかどうかに頭は集中していますから,その状態で視線をずらさず「音」で状態を知りたいのです.Fluke 77の導通チェック・モードは,オーミック・コンタクトなら「ピー」の連続音を鳴らして液晶ディスプレイに抵抗値を表示し,PNジャンクションなら「ピ」という単発音を鳴らして液晶ディスプレイにはジャンクション電圧を表示してくれます.
「ピー」と鳴ったらショートしているかショートに近いほど抵抗値が低いと判断できます.(a)と(b)を見分けるには液晶ディスプレイを見る必要があります.(c)の場合は「ピ」の単発音でそれとわかり,そこがシリコンPNジャンクションなら液晶ディスプレイは0.6Vぐらい,ショットキー・バリアなら0.3〜0.4Vぐらいを表示します.
考えてみると簡単な機能ですが,Fluke 77の発売前にはどこのメーカーにも類似機能をもつテスターはありませんでした.シンプルながら,機能と性能はピカイチというハンドヘルド・マルチメータの王者Fluke社ならではの製品です.現在は,さらに上位の89シリーズなどもあります.

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●CVCC電源(定電圧定電流電源)
電子回路の実験だけでなく,各種電装部品の動作テストやバッテリーの充電量の正確な把握などに欠かせないのがCVCC電源(Constant Voltage Constant Current Power Supply)です.
CVCC電源は主に研究開発用なので新品は高価ですが,中古なら数千円〜数万円で入手可能です.アマチュア無線機などの電源に使う安定化電源が電圧しか安定化しないのに対し,一般的なCVCC電源は下記の特徴があります.
(a)出力電圧を0Vから可変できる.
(b)出力電流の制限値を0付近から数A程度まで設定できる
安定化電源の多くは,たとえ電圧を可変可能でも0Vから可変できないのが普通です.また,電流制限値は,可変できないのが普通です.CVCC電源は出力電流の制限値を0付近(数十mA)から電源の最大定格値(数A)まで自由に設定できます.
電圧を安定化し,どんなに負荷電流が変化しても設定値(たとえば12.0V)に保つことのメリットは容易に理解できると思います.
電流制限値を可変できることは次のようなメリットがあります.
一つは,試作中の回路に通電するのに最大電流を少なめに設定しておけば,なんらかの不具合で過電流が流れようとしても設定電流以上の電流は流れないので,回路部品の焼損や半導体素子の破損を防ぐことができます.
もう一つはバッテリーの充電器としての応用です.バッテリーに流れる充電電流を一定に保つことができるので,充電した時間がわかれば何Ah充電したかを正確に把握できることです.市販のバッテリー充電器や安定化電源のたぐいだと,バッテリーに流れる電流は最初は多く,徐々に減りますから,たとえ充電した時間が分かっても充電量を正確に把握することが困難です.その結果,バッテリーに過充電したり充電不足にしてしまいます.
私が愛用しているのは,たぶん30年選手のPAC 35-3(菊水電子)です.0〜35V,0〜3AのCVCCです.また,ARR-1の動作チェックの写真に写っているのは6002A(ヒューレット・パッカード)で,0〜50V,0〜10Aです.回路の動作チェックから,バイク用や自動車用のバッテリーの充電にも利用しています.0Vから可変できるので,乾電池の放電終止電圧相当の0.85Vで動作させたり,12V動作の機器が何Vまで電圧低下しても大丈夫か…なんていうのも簡単に調べられます.

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●安定化電源(電圧安定化電源)
CVCC電源と違って安定化電源は,出力電圧を一定の値に保つだけです.出力電圧は固定のものと可変できるものがあります.CVCC電源と比べた安定化電源のメリットは,なんと言っても安価なことです.13.8Vの数Aクラスが実売数千円程度でしょう.電圧を可変できるものでも実売で2万円程度です.
オススメはアルインコ社のDM-330MVです.出力電圧は5〜15V可変,出力電流は最大で連続30A(間欠で最大32A)と強力でありながら,スイッチング電源のため重量は約2kgと超軽量です.アマチュア無線機メーカーなので,無線機での使用を想定してスイッチング周波数を少しだけ可変してスイッチング・ノイズを使用周波数からずらせる機能があります.
しかも実売価格が1万円あまりとすごくお買い得感があります.
そのうえこの手の電源としては例外的にサービス・マニュアル(全回路図を含む)を公開しています.回路を見ると定番のTL494相当品をプッシュプル・モードで使い,バイポーラ・パワー・トランジスタのSEPPで整流したAC100Vラインをスイッチングするという,いわばありきたりな方式です.しかし,それだけに回路がこなれていて大量に流通している安価な部品を使って実用性のある製品を構成できたのでしょう.とにかくパワフルで小型軽量で安い!しかも,サービス・マニュアルがあるので改造も修理もその気になれば可能なところが素晴らしいです!
取扱説明書ではバッテリーの充電に使うことは禁止していますが,バッテリー上がりでセルモーターが回らないとき,(使い方次第では)緊急時のブースタ電源代わりになるはずです.ただし,そのような使い方はメーカーが禁止していますから,もしも本機や本機に接続した機器が壊れても,私は責任を負えませんから自己責任でどうぞ!(^^;

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